院長プロフィール

早岐 誠(はいきまこと)

1954年 長崎県佐世保市浦川内町出身
血液型  O型
趣味 スポーツ観戦 ・バスケット(学生時代)
ゴルフ・パソコン(パソコン整備士)
日本野鳥の会会員

略 歴

・佐世保市立広田小学校卒業
・佐世保市立早岐中学校卒業
・長崎県立佐世保南高校卒業
・1982年福岡県立九州歯科大学卒業
・3年間の勤務医の後、現在地にて はいき歯科医院を開業
・鴻ノ巣保育園園医
・長崎県立波佐見高校歯科校医
・日本歯科医師会会員
・長崎県歯科医師会会員
・Well―Being会員  福岡TipEdge矯正研究会 床矯正研究会
・国際歯周内科学会  日本糖尿病協会
・歯科IT研究会会員

親知らずへの想い (1)

福岡県北九州市の小倉に全国で唯一の公立の歯科大学があります。九州歯科大学という県立の単科大学で、6年間の学生時代を私はここで過ごしました。

歯科大学は6年の修業年数が必要です。教養課程を過ごしたあと基礎医学を学び、最後の6年生の1年間はほとんどが大学病院での臨床実習というカリキュラムです。

その臨床実習が行われる付属病院の診療室で初めて、患者さんが歯を削られているところを緊張しながらも興味津津で見学したのです。
また、かぶせ物や入れ歯の型を取らせてもらったり、出来た模型で銀歯を作ったり入れ歯の歯を並べたり、矯正の型取や歯並びの床装置作製などの経験をしました。

こういった実習は、私を含め自分の周りに親や兄弟など身内に歯科医師がいない学生にとってはまったく初めてのことで、担当の先生のOKが出るまでは大変てこずって時間のかかる作業でした。

口腔外科という診療科で初めて歯を抜く場面を見学しました。
麻酔がかかったあと簡単に抜かれる歯があれば、斜めや横に傾いて生えていて簡単には取り出せないややこしい歯もありました。
親知らずの場合では水平に生えていたりすると2つに分けて、それでも取れないときは残った根を更に2つに分けてと、抜くのに時間のかかるタイプもある事を始めて知りました。

私には親知らずが4本生えていましたが虫歯にはなっていませんし、それまで歯で悩んだことなど一度もなく、ましてや歯を抜く経験などありませんでした。

外科での臨床実習の時、私は右側上下2本の親知らずを同時に抜いてもらうことを先輩の先生に相談しました。
上はすぐ取れましたが、下はやや斜めに傾いて生えていたため親知らずの手前の歯に少し引っかかって、簡単には取れずやむを得ず切断し2分割で抜いてもらいました。

抜いたあとの傷がふさがると、噛み砕く奥歯を上下一度になくしたにもかかわらず、食べるのには全然不自由しませんでした。歯磨きに関しては親知らずの残っている左側と比べたら、むしろ2本少なくなった抜いた右側の方の側が奥の奥まで歯ブラシも操作しやすくなり、ずいぶん楽に磨けるようになりました。

親知らず2本のおかげで歯を抜かれるということ、歯の数が減った後でも噛みつぶす効率は変わらないこと、歯ブラシがしやすくなることなど貴重な経験をさせてもらい、左側には2本の親知らずを残したまま卒業したのです。

親知らずへの想い(2)

卒業後何年も快調だった左側上下2本の親知らずですが、8年ほど過ぎた頃、上の親知らずに虫歯ができてしまったようです。

ある研修会に参加したとき、自分の歯型が必要になりました。自分で型を取って歯型を作ったところ左上の親知らずあたりのできばえが良くありません。

型取りが悪かったんだなと思い、再度作りましたが同じような結果です。
初めて自分の歯自体に穴が開いてるのが原因だと気づきました。C1~C4で表す虫歯の程度でいうとC1です。
出来はじめの小さな虫歯なので丁寧に気をつけたブラッシングで進行が止まると考えそのまま放置していました。

それからもしみたり痛んだりの症状は全然なかったので、虫歯だとの自覚もないまま過ごしていました。

いつのころからか、なんとなく奥のほうではなく左側真ん中のあたりの歯で噛むと力が入りません。数日経過してもおさまらないのでおかしいなと思い、歯のレントゲンを自分でとって見ました。
しかし、虫歯らしいところは見つかりません。何でかなと思いつつまた数ヶ月が経った頃、食事中に奥の歯が少しかけたようなのです。舌ざわりであきらかに歯の表面がくぼんで穴が開いていることがはっきりわかります。ついにC1からC2の虫歯へと進行したようです。

そろそろ何とかしないといけないなと思いながらも、自分で自分の歯を治療することはできなかったのでついついそのままでした。

相変わらず左側ではしっかりと噛みしめられない日が続いていました。真ん中あたりで思い切り噛めないのは、一番奥の親知らずが虫歯のせいだとはこの時点ではまだ確信がありません。
しかし、頭の中では神経の配置の関係上親知らずが犯人だとわかっています。

歯周病の研修会に参加したときのことです。衛生士さんに歯茎のチェックとPMTC(クリーニング)をしてもらうことになりました。虫歯があることを黙っていてあとから知られるのは恥ずかしかったので、前もって「親知らずが虫歯です」とそっと伝えました。
PMTCですっきりしたにもかかわらず、虫歯を見られてしまったことで何か晴れないものがあったのを覚えています。

さらに何年か経過し、親知らずの調子は相変わらずで過ごしていました。あるとき食事をしていると、虫歯の親知らずが大きく割れてしまってびっくりしました。噛み合わせの面がなんと半分近くも欠けて無くなったようでなのです。しかし歯が欠けたことで、今まで噛みしめにくかった左側がしっかり噛めるようになったのです。虫歯が欠けたことでしっかり楽に噛めるなんてこれには2度びっくりです。

自分ではこの歯が悪いと感じていても、実際の痛みを引き起こしている原因の歯は違うこともあることを、これで体験しました。あごの神経の配置上一番奥の親知らずが原因だと頭の中では分かっていたことですが、今回身をもって経験し本当に良くわかりました。

虫歯は更に進行して、C2の虫歯がいよいよC3寸前まで大きくなってしまったようです。
ここまで大きくなると、親知らずの虫歯治療が成功しないことはわかっています。
3本目の抜歯がいよいよ現実味を帯びてきたのを感じました。

歯が欠けて半分になったのはショックでしたが、噛んだとき下の親知らずと直接当たらなくなったおかげでしっかり噛めるようになりすっきりしました。

ひどくしみる・黙ってズキズキ痛む症状になるむし歯C3が近いのにもかかわらず、今までの症状が改善されたので、またそのままほったらかしの状態でした。

いよいよその時が来てしまいました。
歯が割れる前も調子悪かったのですが、食事で噛みしめる時力が入らなかっただけで何とかそこそこ噛めていたのです。しかし今回、それ以上に食事しづらくなり左側はほとんど使えない状態です。
冷たいものにもキーンときます。これ以上悪化すると仕事に差し障るし困るなと考えるようになりました。

むし歯C3では、治療の仕組みがわかっている歯科医師の自分でもほとんど何も出来ない状態です。治療して噛めるようにするのは難しい親知らずです。
抜歯して治すことが最良だとわかっています。

今まで何本も患者さんの歯を抜いてきているし、要領もわかっているので自分で抜いてみようかなとも考えてみました。
しかし、もしうまくいかなかったら更に面倒なことになります。いろいろ考えた末、やはり抜いてもらうことに決めました。
大学6年生のとき、右側2本の親知らずを抜いてもらったときの場面が思い出されます。

早速、友人の先生に連絡を取り事情を伝え抜歯の予約を取ったのでした。

抜歯当日です。麻酔は、何箇所か針を刺される感じはあるものの痛くはありませんでした。ただ、麻酔薬が少しもれてちょっと苦い味がします。

5分くらい過ぎて麻酔がかかり、いよいよ抜歯にかかります。まず、歯を掘り起こす器具で、グイっと何回か繰り返してもらうとグラグラしてきました。はさんで取り出す段階に来たようです。

しかし、レントゲン写真で根の先端が少し曲がってることが前もってわかっており、特別な器具を使うようです。慎重にやってもらい、開始から数分後曲がっている先端も折れず無事終わりました。
傷口も縫わずそのままでいいようです。

学生時代に抜いた歯は病院で処理してもらいましたが、今回は抜いた歯をそのままもらって帰り、自分の診療所で親知らずをじっくり観察することにしました。

噛み合わせの部分が3分の1しか残っていず、見るからにこれでは調子が悪くても当然と思える虫歯の状況です。
虫歯の部分を器具できれいに除去すると、やはり神経の入っているところまで穴が開いていました。間違いないC3の虫歯です。更に削って神経の入っているところも調べてみると、虫歯を長いこと放置したためにかなり複雑になっています。根の先端はやや曲がっており、治療はとても不可能な状態でした。

これは10年以上も前のことです。
虫歯の出来はじめから抜歯にいたるまでの長い間、様々な貴重な体験をさせてくれた左上の親知らずに感謝しています。
おかげでC1からC3までの虫歯で悩む方々の気持ちがよく理解できますし、それ以上に虫歯にしないようにすることが大切だとしみじみ思ったのです。 虫歯予防の大切さを伝えて行きたいと思ったのです。

現在左下にあと1本親知らずが残っており、咬み合う相手も無く機能を果たさないまま数年が過ぎました。
また新たな問題を起こしつつあるようで、今後どのようなことを経験させてくれるのか楽しみです。