むし歯予防にはフッ素が有効です

変更do2.jpg今回は、フッ素によるむし歯予防について報告します。
虫歯予防にフッ素の利用が効果的なことはよく知られるようになって来ました。

フッ素の利用には3つの方法があります。

1,フッ素入り歯磨剤の使用
2,歯科医院でのフッ素塗布(3ヶ月毎)
3,フッ素洗口法

―般的なのは1のフッ素入り歯磨剤の使用です。現在ではほとんどの歯磨剤にフッ素が含まれています。皆さんのお使いになっている歯磨剤もたぶんフッ素入りだと思います。

最近はむし歯が減少傾向にありますが、これは歯ブラシの技術が向上したこともあるでしょうが、市場に占めるフッ素入り歯磨剤の占有率が高くなったためとも考えられます。

時々お母様から、何歳くらいから歯磨き剤を使ったらいいですか、という質問を受けます。ブクブクうがいができるようになる3歳くらいからフッ素入り歯磨き剤を使ってもらえればと回答しています。3歳までにむし歯のあるお子さまには、うがいをしなくてもいい歯磨き剤をすすめることもあります。

2番目のフッ素塗布ですが、歯科医院で塗布してもらうフッ素のことです。歯磨き剤よりもフッ素濃度が高めで3ヶ月に1度くらいの割合で塗ってもらうと効果があります。早いお子さんですと、2歳半くらいから塗っている場合も有ります。

3番目のフッ素洗口法は―般的にはまだまだ知られていませんが、むし歯予防効果には最も効果があり安全で安価で簡単なすぐれた方法です。
水で溶かしたフッ素のうすめ液を1日1回ブクブクうがいしていただくだけで結構です。

ずっと続ければ、結構ジュースやお菓子を取ってもむし歯になりにくく、現在むし歯のあるお子様でもほとんどむし歯が進行することがありません。まじめにフッ素洗口を続けておられるお子様は歯を削る治療を避けられるようになって来ました。むし歯の部分もカチカチに硬くなってくるのです。
また、歯周病のために歯ぐきが下がり、根元に虫歯の危険がある成人にも大変有効です。

日本ではフッ素に対して様々な考え方があり、なかなかむし歯予防のためのフッ素が普及していません。世界の先進国では、むし歯予防のために日本より高濃度のフッ素を使うことが常識となっています。

アメリカやヨーロッパ、オーストラリアなど世界の56の国々でむし歯予防のために、水道水の中にフッ素が添加されています。アメリカでは約50年も前から水道水のフッ素化を行っているのですが、弊害はなにも報告されていませんし、むしろすばらしい予防効果があらわれています。

以下、神奈川歯科大学 木本一成先生より 最新のデータが発表されました。

NPO法人日本むし歯予防フッ素推進会議は,1970年から施設でのF洗口実施状況を調査し,齲蝕予防のためにフッ素洗口を啓発普及しています.前回調査に引続き,WHO口腔保健協力センターおよび財団法人8020推進財団と共同で調査したのでご報告します.
F洗口実態調査は,47都道府県および89保健所設置市(18政令指定都市,23特別区,41中核市,7保健所政令市)に対し,2010年3月現在での施設別の集団F洗口実施状況を郵送法にて回答を依頼し,Eメール,FAXまたは郵送にて調査票を回収しました.
その結果,全国で7,542施設,777,553人がF洗口を実施し,前回(2008年)調査より1,109施設 103,412人が増加しました(前回調査に比較すると,実施施設数の増加は1.17倍,実施人数の増加は1.15倍).なお,わが国での保育所,幼稚園, 小学校,中学校,特別支援学校等の児童生徒数が約1,310万人と推計され,F洗口実施人数の割合は全国当該児童生徒数の概ね6%に相当します.
家庭内F洗口実施人数推計値34.8万人(2002年10月時点)を加えると,概ね112.5万人以上が全国でF洗口を実施していると推計されます.
前回より50施設以上増加した地域は,新潟県(+122),秋田県(+119),富山県(+91),島根県(+81),沖縄県(+80),愛知県(+70),千葉県(+60),熊本県(+57)でした.また5千人以上増加した地域は,愛知県(+16,740),秋田県(+11,963),佐賀県(+8,393),新潟県(+7,281),島根県(+7,120),京都府(+6,606),千葉県(+5,258),埼玉県(+5,088)でした.
とくに佐賀県は,当該児童生徒数の実施率が63%と全国で最も高く,小学校単独でみると県内施設数の89%,県内児童数の86%の実施となります.
また,F洗口は特別区を含む689市町村で実施しており,全国1,750市町村総数23特別区含む)の39%と前回調査よりも4%増加しました.

以上、全国レベルの調査です。

歯ブラシや甘いもの対策だけでと頑張らず、上手にフッ素を利用した虫歯予防を取り入れるとむし歯予防は取り組みやすく効果的です。長崎県歯科医師会もフッ素の利用を推進しています。